Column
毎年同じ人へのプレゼント|ローテーションギフトとは
毎年同じ人に贈るプレゼントで、毎回ゼロから考え直して疲れていませんか。ジャンルを一つ決めて中身だけ変える「ローテーションギフト」という考え方と、向くジャンル・向かないジャンルをまとめました。
毎年、振り出しに戻っている
誕生日のたびに、また今年も何を贈ろうと一から考え直す。この「振り出しに戻る感覚」こそが、プレゼント選びを毎回しんどくしている原因です。 去年何を贈ったかも忘れ、候補を検索し直し、結局似たようなものに落ち着く。心当たりがある人は多いと思います。 問題は選択肢が足りないことではありません。むしろ多すぎます。「プレゼント おすすめ」で検索すれば何百件も並びますが、100件を比較検討するのは現実的ではないので、上から数件を眺めて終わる。実際、自分でも毎回調べていますが、結局「どれも微妙やな」と思って見るだけで終わることがあります。 足りないのは商品の数ではなく、絞り込むための軸の方です。
ジャンルを決めると、選ぶのが楽になる
KASANE が提案する「ローテーションギフト」は、発想を少し変えるだけの方法です。 贈るたびにジャンルを選び直すのではなく、ジャンルを一つ決めてしまう。スニーカーなら毎年スニーカー、ネクタイなら毎年ネクタイ。悩む対象を型番・色・ブランドだけに絞ることで、選ぶ苦労は年々小さくなっていきます。 ここで大事なのは、楽になるだけではないという点です。選択肢が減ったぶんの余力を、その狭い範囲で凝ることに使えます。この配色は持っていなかったな、去年ローカットだったから今年はハイカットにしようか、といった考え方ができる。 制約は選ぶ楽しみを奪うのではなく、選ぶ楽しみが成立する条件になっています。全ジャンルから1つ選ぶという作業は、自由に見えて実際には決められないだけです。
「何が欲しい?」と聞いても無難な答えしか返らない
相手に聞けばいいのでは、と思うかもしれません。ところがこれもうまくいきません。 「何が欲しい?」という質問は、相手に「世の中のあらゆる商品の中から1つ選べ」と言っているのとほぼ同じです。選択肢が事実上無限にあるとき、人は選べない。だから「なんでもいい」が返ってきます。 ここから先はもらう側の実感ですが、自分がまさにそう答えてしまう側でした。そしてこれは遠慮ではありません。もらえるだけで十分うれしいので、本当に「なんでもいい」と思って言っています。 大事なのはここからで、「なんでもいい」は「何でも同じ」という意味ではありません。もらったスニーカーには毎年はっきりと好みが出ます。ジャンルが決まっていれば、好き嫌いはちゃんとある。無いのは好みではなく、無限の選択肢から1つを選び出す方の能力です。 つまり贈る側と贈られる側が、同じ理由で同じところに詰まっています。ジャンルを決めるというのは、その詰まりを両側から外す方法です。
贈られる側には、コレクションが育っていく
この方法のおもしろさは、贈る側の負担が減るだけでなく、贈られる側にも積み重なる喜びがある点です。 同じジャンルの中で少しずつ違うものが増えていくと、気づけば本人のコレクションになっている。一過性の消費で終わらず、時間をかけて育っていくギフトになります。 そしてもうひとつ、もらう側の実感として書いておきたいことがあります。ジャンルが固定されていることを、マンネリだと感じたことはありません。 毎年同じ人から NIKE のスニーカーをもらい続けていますが、1足目は無難な一本でした。2足目から配色が振れはじめて、そこからは「次は何を選んでくれるんだろう」が毎年の楽しみになりました。ジャンルが読めているのに中身が読めない、という状態が一番期待できます。 トリッキーな配色や柄は自分では選ばないので、もらってはじめて手に入る種類のものです。それに合わせて服を考えるのも、出かける前の楽しみになります。 「同じジャンルを続けたら飽きられるのでは」というのが贈る側の最大の不安だと思いますが、少なくとももらう側からは、そうはなりませんでした。
向くジャンルと、向かないジャンルがある
ただし、どのジャンルでも同じように効くわけではありません。ここは正直に書いておきます。 うまくいかないパターンははっきりしていて、2年目に「去年と同じようなものしかない」となる場合です。ジャンルを絞ったのに中身の選択肢まで一緒に絞られてしまうと、凝る余地が消えます。こうなると、ジャンルを固定したこと自体が行き詰まりの原因に変わる。絞ればいいという話ではありません。 幅があるかどうかは、3つの軸で見当がつきます。 1つ目、定番が廃番にならないジャンルかどうか。定番が残っていれば、外さない選択を毎年キープしたまま中身だけを変えられます。 2つ目、新色や新作が年周期で出るジャンルかどうか。ブランドの側が勝手に候補を供給してくれるなら、贈る側が探しに行かなくても尽きません。 3つ目、消耗するジャンルかどうか。使えばなくなるものには、毎年もらう理由が構造的にあります。何年も残るものは、2つ目が届いた時点で片方が使われなくなる。 3つすべてを満たす必要はありませんが、1つも満たさないジャンルは毎年のローテーションに向きません。スニーカー、万年筆のインク、毎年新作が出るコスメ、スキンケアのような消えものは条件を満たしやすい。逆に数年に一度しか型番が変わらない高価な家電は、2年目で手詰まりになります。 ジャンルごとの当てはめは、コラム「ローテーションに向くジャンル・向かないジャンル」に一覧でまとめています。
モノを贈り尽くしたら、旅行という選択肢がある
この贈り方には、続けていくと必ず来る限界があります。置き場所です。 毎年1つ増えることが前提なので、収納に余裕がない相手には3年目あたりで物理的に無理が出ます。玄関の狭いワンルームに毎年スニーカーを贈るのは、途中で相手の負担になります。 そしてモノ自体にも限界があります。財布も時計も鞄も一通り贈って、来年は何にしようかと詰まる。何年も同じ相手に贈っていれば、必ずここに行き当たります。 そこで効くのが旅行です。行き先が尽きません。北海道に行ったなら次は沖縄、温泉なら箱根の次は草津。国内だけでも回りきれない数があります。そして何年続けても、家の中は何も変わらない。 ここから先はもらう側の実感ですが、毎年旅行に連れて行ってもらっていて、これはもらったという感覚と一緒に過ごしたという感覚が同時に残ります。モノにはない残り方です。 ローテーションという考え方は、モノの中だけで完結するものではありません。ジャンルを固定して中身を変える、という骨格はそのまま体験にも当てはまります。
すべてをローテーションにする必要はない
誤解してほしくないのは、これは「毎年同じジャンルを贈るべき」という決まりごとではないということです。 30歳や昇進のような節目には、ジャンルを固定しない一点豪華なギフトの方が効くこともあります。ローテーションはあくまで、センスの効いた贈り方の一つの型です。 そして相手の側で成立しない場合もあります。自分で調べて選ぶ過程そのものが趣味になっている相手には、そのジャンルを贈らない方がいい。喜ばれないのではなく、選ぶ楽しみを奪ってしまうからです。 KASANE では、贈る相手が本当に喜ぶ提案であれば、ローテーションでも単発でも、そのつど紹介していきます。効かない場面を隠して勧めるつもりはありません。
このサイトの使い方
絞るのはサイトの単位ではなく、読者一人の毎年の単位です。 このサイトには相手ごと・ジャンルごとに多くの選択肢が並んでいますが、その一覧は最初の一年にジャンルを決めるためのものです。自分と相手に合うジャンルがどこにあるかは、並んでいないと見つけられません。 ただし一度ジャンルを決めたら、そこに留まって中身だけを変えていく。次の年に一覧へ戻ってくる必要はありません。そのジャンルのページだけを毎年見に来てもらえれば十分です。 これから始めるなら、消えもののジャンルが一番失敗しません。使い切るので在庫が残らず、置き場所も取らず、合わなければ翌年やめても損失が小さい。すでに何年か贈っていて行き詰まっているなら、これまでで一番反応が良かったジャンルを続けると決めるところから始めてください。