KASANE

Gift Rotation Guide — 旅行

旅行を、
ローテーションで贈る。

夫婦で旅行を毎年贈り合うための考え方。モノを贈り尽くした相手にも、旅行なら毎年新しい体験を贈れます。行き先の変え方と、旅行を贈るべきでない場合も書いています。

— なぜローテーションに向くのか —

モノはいつか贈り尽くします。財布も時計も鞄も一通り渡して、来年は何にしようかと詰まる。何年も同じ相手に贈っていると、必ずここに行き当たります。

旅行が効くのは、この壁の向こう側にあるジャンルだからです。贈るのがモノではなく、その年の体験になる。

そして行き先が尽きません。今回は北海道に行ったから、次は沖縄。温泉なら、箱根に行ったから次は草津。日本国内だけでも一生かかっても回りきれない数があり、海外まで広げれば候補が尽きるということが構造的に起こりません。しかも同じ場所に行っても、その年の自分たちで体験は変わります。モノは同じものを2つ持つと片方が余りますが、体験は重なりません。

もうひとつ、このジャンルには他のどのジャンルにもない利点があります。置き場所を取らないことです。

この考え方の一番の弱点は、毎年ひとつ増えることでした。スニーカーもマフラーも美容家電も、続けていれば必ず収納が限界に来ます。玄関の狭いワンルームなら3年目で無理が出る。ところが旅行にはこの問題が一切ありません。何年続けても、家の中は何も変わらない。ローテーションを本当に長く続けるという意味では、これが決定的です。

そして贈る側も一緒に行きます。他のジャンルは相手だけが使いますが、旅行は二人のものになる。ここから先はもらう側の実感ですが、毎年妻から旅行に連れて行ってもらっていて、これはもらったという感覚と一緒に過ごしたという感覚が同時に残ります。モノにはない残り方です。

— 変え方の軸 —
行き先で変える — 主軸。北海道の次は沖縄、というように地方ごと移します。一番はっきり変化が出て、しかも候補が尽きません。
同じテーマの中で場所を変える — 温泉なら箱根の次は草津、というように。ジャンルの中にもうひとつジャンルを作る形で、テーマを固定したまま場所だけ回せます。テーマが決まっていると選ぶのが楽になるので、行き先を毎回ゼロから探すより続きます。
距離で変える — 近場の温泉、国内の遠方、海外。距離が変われば予算も日数も変わるので、その年の余裕に合わせて調整できます。上げた翌年に近場へ戻しても、行き先が違えば手抜きになりません。
宿のグレードで変える — 同じ行き先でも、ビジネスホテルと高級旅館ではまったく別の旅行になります。節目の年に宿だけ上げるという使い方ができます。
季節で変える — 同じ場所でも冬と夏では別物です。一度行って良かった場所に、違う季節でもう一度行くという選択肢があります。これはモノのジャンルにはない変え方です。
過ごし方で変える — あちこち回る観光型と、宿から出ない滞在型。行き先を変えなくても、過ごし方を変えれば違う旅行になります。
— 具体例 —

1年目

近場の温泉に1泊。移動が短く、予算も読める行き先から入ります。ここでの目的は、相手がどういう旅行を好むかを知ること。あちこち回りたい人なのか、宿でゆっくりしたい人なのか。ここが分かれば以降の設計ができます。

2年目

同じテーマで場所を変えます。箱根に行ったなら草津へ。テーマが温泉のまま固定されているので選ぶのが楽で、それでいて行き先が違うので完全に別の旅行になります。1年目で好みが分かっているぶん、宿の選び方の精度も上がります。

3年目

距離を伸ばして、地方ごと変えます。北海道に行ったなら次は沖縄。移動に時間がかかるぶん日数が要るので、休みが取れる年に置きます。ここまでで温泉・遠方と2つの型ができるので、以降はこの2つを交互に回せます。

4年目以降

近場と遠方を交互に置きます。毎年遠くへ行こうとすると予算も休みも続かないので、その年の余裕で決める。行った場所が増えるほど「次はどこにするか」の会話そのものが楽しみになります。ここから先はもらう側の実感ですが、行き先が読めないという状態が毎年の期待になります。

— 選び方 —

    日程を先に押さえます。旅行は他のジャンルと決定的に違って、相手の時間を使います。モノなら当日に渡せますが、旅行は休みが合わなければ成立しません。行き先を考えるより先に、いつなら行けるかを確認してください。

    サプライズにはしにくいジャンルです。日程調整が要るので、行くこと自体は事前に共有することになります。代わりに行き先や宿を伏せておく、という形でなら驚きを残せます。ここは他のジャンルと設計が違うところです。

    行き先を決めすぎないという選択肢もあります。二人で行くものなので、候補をいくつか出して一緒に決める形にすると、選ぶ過程そのものが楽しみになります。全部こちらで決めるのが正解とは限りません。

    前年の行き先から、距離か系統のどちらかを変えます。両方変えると振れ幅が大きすぎて、その年の予算や休みと合わなくなることがあります。片方ずつ動かす方が続きます。

    移動時間は相手の体力に合わせます。飛行機で往復して現地1泊、という日程は移動だけで疲れます。日数が取れない年は、無理に遠方へ行くより近場の宿を上げる方が満足度が高くなります。

    予約サイトによって同じ宿でも価格が違います。セールの時期もあるので、決めた宿があるなら複数のサイトを見比べる価値があります。料金・空室状況は変動するので、記事作成時点の情報として各サイトの表記を確認してください。

— 予算帯 —

近場・1泊

車や電車で行ける範囲の温泉や宿。移動が短く、休みも1泊分で足ります。1年目と、予算や休みが取りにくい年の主軸。この帯があるおかげで、このジャンルは毎年続けられます。

国内・遠方

飛行機や新幹線を使う距離。移動費が乗るぶん予算は上がりますが、行き先の選択肢が一気に広がります。2年目・3年目の主戦場で、地方を回していく形になります。

海外・高級旅館

節目の年の枠です。審査を通った宿だけを扱う予約サイトを使うと、外しません。ただし毎年この帯を続けると、休みも予算も続かなくなります。上げた翌年は近場に戻す前提で組んでください。

— こんな時は避ける —

    休みが合わない相手。このジャンル最大の制約です。モノなら相手の都合に関係なく渡せますが、旅行は相手の時間を確保できないと成立しません。交代勤務や繁忙期が読めない仕事の相手には、日程を合わせること自体が負担になります。

    移動が苦手な人。乗り物酔い、腰や膝の不調、長時間の移動が体にこたえる。行き先の問題ではないので、近場に変えるくらいしか調整の余地がありません。ここが厳しいなら別のジャンルへ移す判断が要ります。

    旅行の計画そのものが趣味の人。自分で調べて組み立てる過程を楽しんでいる相手には、こちらが全部決めた旅行は選ぶ楽しみを奪います。この場合は行き先を決めずに、予算と日程だけ用意する形の方が合います。

    家庭の事情で家を空けにくい人。小さい子ども、介護、ペット。本人が行きたくても動けない状況があります。相手の状況を把握していないうちは、日帰りや近場から様子を見る方が確実です。

    サプライズにしたい年。日程調整が必要なので、行くこと自体は隠せません。当日に渡して驚かせたい年は、このジャンルではなくモノを選んでください。

    その年に大きな出費が続いている相手。旅行は贈る側だけでなく、現地での食事や買い物で相手側にも出費が出ます。金額を抑えたつもりでも、結果的に相手の負担になることがあります。

— このジャンルが登場する相手 —