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「何が欲しい?」は聞かない|代わりに聞くこと

プレゼントで「何が欲しい?」と聞くと、なぜ「なんでもいい」しか返ってこないのか。毎年もらう側としての実感と、代わりに何を聞けばいいか。それでも聞くべき3つのことも書いています。

「なんでもいい」と答えてしまう側の話

「何が欲しい?」と聞いて、「なんでもいい」と返ってきた経験のある人は多いと思います。遠慮しているのか、興味がないのか、判断がつかなくて困る答えです。 ここから先はもらう側の実感ですが、自分がまさにそう答えてしまう側でした。そしてこれは遠慮ではありません。もらえるだけで十分うれしいので、本当に「なんでもいい」と思って言っています。 この質問は、相手に「世の中のあらゆる商品の中から1つ選べ」と言っているのとほぼ同じです。選択肢が事実上無限にあるとき、人は選べません。そこに「もらえること自体がうれしい」が重なると、「なんでもいい」が一番正直な答えになってしまう。 つまり返ってきているのは、欲しいものの答えではなく、選べないという状態の報告です。相手は正直に答えているのに、こちらが求めていた情報は取れていない。 大事なのはここからで、「なんでもいい」は「何でも同じ」という意味ではありません。もらったスニーカーには、毎年はっきりと好みが出ます。ジャンルが決まっていれば、好き嫌いはちゃんとある。無いのは好みではなく、無限の選択肢から1つを選び出す方の能力です。

選択肢が多いと、贈る側も同じ場所に落ちる

同じことが贈る側にも起きます。 「プレゼント おすすめ」で検索すると、何百件の商品が並んだページが出てきます。あれは選びやすくしているように見えて、実際には決めにくくします。100件を並べて比較検討するのは現実的ではないので、上から数件を眺めて終わることになりがちです。 自分の場合、こうやって調べること自体は毎回やっています。ただ、結局「どれも微妙やな」と思って見るだけで終わる。買わずにページを閉じて、また振り出しに戻ります。決められないというより、決めるための基準がどこにもない状態です。 「何が欲しい?」と聞いて「なんでもいい」が返ってくるのと、一覧を眺めて何も決まらないのは、同じ現象の裏表です。選択肢が多すぎると、選ぶ側も選ばれる側も、判断の手がかりを失います。 足りないのは商品の数ではありません。絞り込むための軸の方です。

ジャンルが決まっていると、なぜ選ぶのが楽しくなるのか

逆をやると何が起きるか。あらかじめジャンルだけ決めてしまうと、話が変わります。 たとえば「スニーカーを贈る」と決めた時点で、考えることは色とモデルだけになります。全ジャンルから1つ選ぶより明らかに簡単です。そして簡単になったぶんの余力を、その狭い範囲で凝ることに使えます。この配色は持ってなかったな、去年ローカットだったから今年はハイカットにしようか、といった考え方ができる。 この、選択肢が減ることで初めて凝れるようになるという順番が大事なところです。制約は選ぶ楽しみを奪うのではなく、選ぶ楽しみが成立する条件になっています。 もらう側からも同じことが言えます。ここから先は毎年同じ人から NIKE のスニーカーをもらい続けている側の実感ですが、ジャンルが固定されていることをマンネリだと感じたことはありません。1足目は無難な一本でしたが、2足目から配色が振れはじめて、そこからは「次は何を選んでくれるんだろう」が毎年の楽しみになりました。ジャンルが読めているのに中身が読めない、という状態が一番期待できます。 「なんでもいい」と答えて終わるのと、次に何が来るか分からないスニーカーを待つのとでは、後者の方が明らかに面白い。同じ人間が、聞かれ方ひとつでこうなります。

ただし、ジャンルの中に十分な幅がないと成立しない

ここは正直に書いておきます。この考え方は、どのジャンルでも同じように効くわけではありません。 うまくいかないパターンははっきりしています。2年目に「去年と同じようなものしかない」となる場合です。ジャンルを絞ったのに、中身の選択肢まで一緒に絞られてしまうと、凝る余地が消えます。こうなると、ジャンルを固定したこと自体がマンネリの原因に変わる。絞ればいいという話ではありません。 見分け方は2つあります。 ひとつは、そのジャンルが毎年勝手に新しい候補を供給してくれるかどうか。新色や新作が年単位で出るジャンルなら、贈る側が探しに行かなくても候補が増え続けます。逆に、数年に一度しか型番が変わらない高価な家電のようなジャンルは、2年目で手詰まりになります。 もうひとつは、使えばなくなるジャンルかどうか。消えものには毎年もらう理由が構造的にあります。何年も残るものは、2つ目が届いた時点で片方が使われなくなる。 スニーカー、万年筆のインク、毎年新作が出るコスメ、スキンケアのような消えもの。このあたりは条件を満たしやすい領域です。

「何が欲しい?」の代わりに何を聞けばいいか

結論としては、欲しいものを聞くのではなく、関心のある領域を聞くのが有効です。 ただ「何に興味ある?」と正面から聞くと、これも範囲が広すぎて同じ問題が起きます。うまくいくのは、こちらから領域を出してしまう聞き方です。 たとえば「今履いてるやつどこの?」は、贈り物の気配を出さずにジャンルへの関心とサイズの手がかりを同時に取れます。相手が答えながら自分から「最近こういうのが気になってる」と話しはじめたら、それが一番強い情報です。相手が自分の言葉でジャンルを絞ってくれた状態なので、あとはその中で選ぶだけになります。 重要なのは、この会話がプレゼントの相談として成立していないことです。「何が欲しい?」は相手に選ぶ責任を渡してしまいますが、関心を聞くだけなら相手は何も決めなくていい。決めるのはこちら側で、そのための材料だけをもらっている形になります。 「なんでもいい」としか答えられなかった相手でも、この聞き方なら答えられます。選べないだけで、好みが無いわけではないからです。

それでも聞いた方がいい3つのこと

ここまで「聞かない方がいい」と書いてきましたが、聞くべきことはあります。好みの話ではなく、事故を防ぐための情報です。 1つ目はサイズ。ただしこれも「何cm?」と直接聞くより、履いているスニーカーのブランドとモデルから絞る方が自然です。一緒に買い物に行く機会があれば、試着しているのを覚えておくだけでも足ります。 2つ目はアレルギーと肌の相性。スキンケアやコスメを贈るなら、これは推測で進めてはいけない領域です。使えないものが届くと、相手は言い出しにくく、こちらも気づけません。 3つ目は、すでに持っていないか。同じものが2つ届くのは、好みを外すより気まずい。共通の知人がいるなら、そちら経由で確認できることもあります。 この3つは「何が欲しい?」とは別の質問です。好みは聞かない、事故になる情報は聞く。この線を引いておくと、聞くべきかどうかで悩まなくなります。

このサイトの使い方

ここまで「選択肢が多いと決められなくなる」と書いてきた一方で、このサイト自体が相手ごと・ジャンルごとに多くの選択肢を並べています。矛盾しているように見えると思うので、断っておきます。 絞るのはサイトの単位ではなく、読者一人の毎年の単位です。自分と相手に合うジャンルがどこにあるかは、並んでいないと見つけられません。 このサイトの一覧は、最初の一年にジャンルを決めるためのものです。決まったら、そのジャンルのページだけを毎年見に来てもらえれば十分で、一覧に戻ってくる必要はありません。膨大な一覧を毎年見に来てもらうことを前提にしていない、というのがこのサイトの立ち位置です。